みちのえき

レポと祝い事、たまに創作

ちょっと星降る夜に出掛けてくる

 

『星降る夜に出掛けよう』南座公演を観てきました。

 

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前情報があまりに少なく、一体何を観ることになるのかわからないまま、あっという間に観劇日が近づき、京都に行き、着席していた。
思い返せば私が髙地優吾を気になり出したのが『夏の夜の夢』を観た頃。故に舞台の髙地優吾がやたら好きなんですよね。上手下手ではなくふとした時にものすごい深みを魅せてくるというか。
ジャニーズ内でも縁ある二人との共演だし、何かわからないけど楽しみ!なだいぶ軽いノリでいる間に暗転。まさかそれなりの哲学をくらうとは知らず。

 

 

※ネタバレを含みます

 

 


星の王子さま (髙木くん・優吾)

最初飛行機が墜落するシーン。ミニチュアの飛行機を人(黒子)が持って舞台を通過していく。この時点で「あ、好きなタイプの舞台だ」と思った。この極力大掛かりな装置や道具を少なくする感じの舞台、好きなんですよね。実際このおかげで作品が変化するごとの転換時間はほとんどなかった。

髙木くんが語り始めた瞬間に会場の空気が吸い込まれる。正直髙木くんに関してはあまり詳しくないのだけど、結構JUMPとは違う雰囲気を見せるなと思った。何より歌い出した時の声!静かながら張りがあり、穏やかさの中に艶を見せる。このままワンマンショーにされてもおかしくないと思ったくらい。

満を持して出てきた髙地くん。特徴的なはためく白いマントもさることながら、下に着ている銀色の服のスタイルの良さの際立ち方。足がなっっっがい。
正直夏の夜の夢に比べたら第一声への驚きはあまりなかったのだけど、この「驚きがない」ことがまずすごい。「星の王子さま役」なんて普通ちょっと突飛な感じがして浮くでしょうに、この人はそれがない。元から星の王子だったみたいな。人懐こい笑顔とあどけないトーンの声がよく似合う。

星の王子さまの優吾は異星人故に不思議ちゃんというか、微妙に地球の人間と噛み合わない掴みどころのない感じが似合っていた。多分性格だけで言えば演じやすい部類だったのでは。髙木くんと大きく身長は変わらないはずだが、話し方や表情、そのあどけなさで小さく見える。これは髙木くんの演技効果も多分ある。髙木くんの役は身振り手振りが大きく、また「君は小さいから」「小さい星に住んでいる」ことを強調するので相対的に優吾を「小さく」見せている、気がした。

カナリアの声の美しさをどう伝えたらいいんだろう?から『カナリア』へ。メインは髙木くんで要所要所で髙地くんがハモリ。マントをひらつかせる時の足捌きが鮮やかで、こういう「舞う」髙地優吾はSixTONESではまず見られなくて良い。

二人が共に過ごしながら色んな話をし、色んな出来事があった、というのをセリフなく細切れのシーンだけで描かれる。強風に煽られる髙地くんと髙木くんとかいう一生で見ることがあるかないかな謎シーンまで。
星の王子さまって、話端折るとこんなに砂漠でイカれて幻覚が見えてる男感出るのか。井戸のシーンとか少し恐怖すら感じた。
井戸を見つけて喜ぶ二人。君には重すぎるから、と水を引き上げてくれる髙木くん。髙地くんの手に注いで気持ちよく飲んで、じゃあ次に髙木くんにも、と髙地くんが桶を持つ。持てるんかい。(髙地くんに水を渡した分多少軽くはなっているだろうが……)
ちなみに小道具もないのでこれらは二人のパントマイム。やっと見つけた水を飲む仕草が上手い。

髙木くんの歌からのお礼に僕からも、と優吾が歌った『あなたがどこかで』が本当に良かった。正直原曲のあの歌い方を再現するのは難しいのでやや大変そうではあったけど、優しい声によく似合ってた。私情を挟みますがSixTONESに出会ってからのことを無意識に思い出した。この声でこの曲を聞けてよかった。

 


喜びの孤独な衝動(髙木くん・優馬くん)

笑いも起こる、比較的理解しやすいパートだったのでは。
ものすごく端的に言えば、夢で出会った池に住む人魚に恋をしてわざわざ夜中の2時に親友・ジムを連れてきた話。
ほとんど二人は舞台に寝転がって正面を見ながら話すのだけど、正面に当たる席の人死なないか、大丈夫か。

優馬くん演じるジムの間合いが絶妙。この独特な間合いとあっさりした返事が笑いを加速させる。
星の王子さまの王子もそうだったけど、結局最後に声が聞こえた人魚は実在したのか。ウォルターの幻覚あるいは夢だろう、と言ってしまえばそうなのだけど、多分本筋はそこではなく、とにかくウォルターは本気で恋をしているということ。そして人魚の存在はウォルターにしか認識できない「孤独」。
その悲しさを集約した『雨』がまたすごく良かった。髙木くんは色気の印象が強かったのだけど、この曲の時の恋慕の念が溢れ出る姿も魅力的だった。

 

 

星降る夜に出掛けよう(優馬くん・優吾 終盤三人)

一番哲学!!!!客席何人かお口ポカンになってそうだった。私は理解しきれないなりにこういう話好みなのだけど。

優馬くんの周りを囲む女性役たち(アンサンブルの人)の動きの取り方好きだった。要所でリアクションとるだけなのだけど、演じるというより踊るような動きに近い。

優吾は幽霊4、5体引き連れて登場。テーブルや椅子まで幽霊(人)。※普通に座るだけなら女性役と同じように椅子を用意すればいいだけなので、めちゃくちゃ憑かれてることの表れだと思う。四つん這いの人に座って煙草吸ってる(仕草)の優吾なんか癖に刺さった。
キザっぽいのかなと思ったけど話してみるとだいぶ弱気な人だった。というか憑かれすぎて疲弊しているのか。

優馬くんが僕はこれ(女関係)と決別する!となった時に唐突に箱が現れてそこにアンサンブルの人たちが女装道具投げ込んでいくのめっちゃ怖かった。現代芸術みある。

星降る夜に出掛けようよ!で外に出たら客席側まで張り巡らされてた星空照明が点灯。もはやプラネタリウム
シャンパン開けて、グラスは指を鳴らすと手の中に出てくるパントマイム。ここめっちゃ気持ちいい。「美味しいよ」の優馬くんの優しい声、癖になる。
途中から「ねえ、僕も混ぜてよ」って下手袖から髙木くんが顔出すのじわじわ来た。2回目のシャンパ開封式、髙木くんはグラス2つ出してて2つ同時一気飲み。


「やつら(幽霊や妖怪)真剣な話は尊重する」「真剣になったから(この星空に出会えた)」とやたら「真剣」を強調する三作目。なんか似た話をどこかで、と思ったら一作目の星の王子さまにも似た話が出てくる。

男が「昔、家のなかに宝物があるぞって話があったのに誰も見つけられなかった。それは誰も真剣に探さなかったからだ(要約)」と話すことで「大切なものは目に見えない。心の目で見ないと」という話にも繋がってくるのだけど、これを三作目にも当てはめると
「真剣」になったから「心の目で見ることで大切なものが見えた」星空 ということになるのではないか。
こんな満点の星空が存在するのか、存在してるけど視界に入っていなかったのか、いずれにせよ「真剣」になったから目にすることができた。

 

 

本編はこれで終了なのだけど、その後ソロコーナー。

優馬くんは普段ソロで活動してるだけあって、一人でパフォーマンスする時の華が段違いにすごい。所作の機微から声の作り方、自分の魅せ方をわかっている。優馬くんのターンのアンサンブルが比較的少なかったのもそのためだろうか。(一度に出てくる人数が2人とか、多くても4人とかだった気が)

髙木くんはまた勝手な偏見だけどこういうセクシーなの得意そう。ステッキがよく似合う。本編中はバラード曲が多かっただけに声の使い方がまた違くてドキドキする。
髙木くん→優吾にパスする時、優吾が袖から手を出す→髙木くんがエスコートの流れすごい良かった。

優吾の曲めちゃくちゃ似合ってた!おしゃれでコミカル。かつ一番集団芸術。何しろ常にアンサンブルが舞台上に多い。それと同時にすごい難しそうだった。これを歌いながら踊る力量が試されている。優吾の発声する時の一音目の会場中にパン!と響き渡る感じが好き。

 


最後は三人そろって『情熱』。
終演後にこれしか脳内リピートされなくなる。コーラスパートをアンサンブルの人たちが歌ってくださってたの最初から?千穐楽だけ?千穐楽すごい声聞こえた。劇中の少し不穏な不気味さすらある感じから一転してめちゃめちゃパワフルで楽しい。
イントロでアンサンブルと顔見合わせて楽しそうな優吾。これだけですごく良い座組でやらせてもらったことがわかる。

最後になんでこの曲?と不思議に思うところはあるのだけど、玉三郎さんが若い……と言ってもアイドルとしてはきっといい年齢と言われてしまう世代の三人にこの曲を歌わせたかったのはなんかわかる気がした。

 

 

〜〜〜

 

おまけ〜千穐楽挨拶の話〜
細かな部分までは覚えてないので断片的なことだけですが。

・「なんかユニット組んだみたい」と普段ソロで活動している優馬くんの口から聞けるのじーんときた。
・二人が丁寧なご挨拶した後の「どうも髙地優吾です!」の通常運転感に笑った。
・「立つタイミングを間違えたみなさん、座ってください。僕これからゆっくり喋るんでね」の髙地優吾、あまりにもSixTONESの血。※スタオベのタイミングを読みきれなかったため、立ったままの人と座ったままの人が混在していた。
玉三郎さんを玉さーん!呼びの優吾、玉三郎さんのご挨拶の後「いや〜どうしたらそんな貫禄のある話し方ができるんですか?」の優吾、肝の座り方がえぐい。「友達じゃねーんだぞ」の二人のツッコミ。そんな優吾に「孫のよう」と微笑む玉三郎さんの和やかさ。
・「それでは孫三人による情熱をもう一度」と振られてエーッとなる三人+アンサンブル。
・下がろうとする玉三郎さんを中央に連れ戻し、歌詞カードを取ってきて押し付ける優吾。そのわりにはAメロに入った瞬間誰よりも前を歩き始める自由さ。これが南座0番の髙地優吾……(なんか違う)。
・自分のパートが来るまでにアンサンブルたちを後列から前に「行け行け!」と押し出して回る優吾。自由奔放になりすぎて2Aに入り損ね「あ、俺か!?」となる始末。
・曲終わりに幕が閉まる時も0番を取りに行く優吾。
・この間全てを動揺しながらも優しく見守ってくれていた二人。
・その後の最後のカーテンコールでは誰よりも長く、ギリギリまで頭を下げていた優吾。顔上げてくれたの幕で見えなくなる本当にギリだった。

 


優吾、めちゃくちゃ愛されている。